NASの停電対策|停電したら確認する手順とUGREEN NASのUPS設定
NASで停電が発生した場合は、復電直後にHDDを抜いたり、電源を何度も入れ直したりしないでください。電源が安定していることを確認してからNASを1回だけ起動し、UGOS Proでシステムログ、ストレージプール、HDDの状態を順番に確認します。
書き込み中に突然電源が切れると、保存中のファイル、ファイルシステム、RAIDの整合性に問題が起こる可能性があります。こうしたリスクを減らす方法が、UPSによる電源維持と安全な自動シャットダウンです。

停電した直後に避けること
- HDDやSSDを取り外す
- HDDのスロット順を変更する
- 短時間に電源のON・OFFを繰り返す
- 原因を確認せずRAID再構築を強制する
- 重要データを確認する前に高負荷の診断を実行する
停電したら最初に行うこと
停電中と復電後では、行うことが異なります。
| 状況 | 最初に行うこと | 避けること |
|---|---|---|
| 停電が続いている | NASと電源周辺の状態を保ち、電源の復旧を待つ | HDDの取り外し、電源ボタンの連打 |
| 電力が不安定 | 電圧が安定するまでNASを起動しない | 短時間の起動と停止の繰り返し |
| 電源が復旧した | NASを1回だけ起動し、状態を確認する | 起動途中の強制終了 |
| NASが起動しない | 次の「停電後にNASが起動しない場合」の手順へ進む | HDDの取り外し、スロット変更 |
| NASに接続できる | ログ、ストレージプール、HDD、重要データを確認する | すぐに完全診断や大量転送を始める |
| RAID警告がある | 警告対象とバックアップ状況を確認する | 原因不明のまま修復を開始する |
UPSが接続され、NASの自動シャットダウンが始まっている場合は、処理を中断しないでください。停電中に手動で電源を切ったり、UPSとNASの接続を外したりすると、安全な終了処理を妨げる可能性があります。
停電後にNASが起動しない場合
停電後にNASが起動しない場合は、HDDを取り外して起動確認をしてはいけません。RAIDを構成しているHDDの位置や認識状態を変えると、問題の切り分けが難しくなる可能性があります。
次の順番で確認してください。
- コンセントに電力が供給されているか確認する
- 電源タップや延長ケーブルを使用している場合は、その状態を確認する
- NASの電源アダプターとケーブルが正しく接続されているか確認する
- UPSを使用している場合は、UPSの残量と動作状態を確認する
- NASのLED、ファン、起動音に反応があるか確認する
- 電源ボタンは1回だけ押し、起動処理を待つ
電源が入らない、異音や異臭がある、複数のHDDが認識されない場合は、再起動を繰り返さず、その状態を保ってください。
次の操作は行わないでください。
- HDDやSSDを取り外す
- HDDのスロット順を変更する
- HDDを取り外した状態でNASを起動する
- ストレージプールを削除する
- RAIDを新しく作成する
- HDDを初期化する
- リセット操作を繰り返す
- SSHで不明なコマンドを実行する
LEDやファンが動作している場合は、NASの起動完了を待ったうえで、ルーター、LANケーブル、接続端末の状態も確認してください。
復電後に確認する順番
1.電源が安定しているか確認する
復電直後でも、短時間に再び停電したり、電圧が不安定になったりすることがあります。
次の状態がある場合は、NASを起動しないでください。
- 照明が繰り返し点滅している
- ブレーカーが再び落ちる
- 電源アダプターやコンセントから異音がする
- 焦げたようなにおいがする
- 電源ケーブルやアダプターが異常に熱い
電源周辺に異常がある場合は、NASの動作確認よりも電気設備の安全確認を優先します。
2.NASを1回だけ起動する
電源が安定したことを確認したら、NASを1回だけ起動します。自動起動が設定されている場合は、起動処理が完了するまで待ってください。
起動に通常より時間がかかっても、すぐに強制終了してはいけません。停電後は、ファイルシステムやストレージプールの確認処理によって起動時間が長くなる場合があります。
3.システムログを確認する
UGOS Proへログインできたら、ログセンターを開き、停電前後に次の警告が発生していないか確認します。
- 異常終了
- HDDまたはSSDの認識エラー
- I/Oエラー
- ストレージプールの警告
- RAID同期または整合性確認の開始
- アプリやサービスの起動失敗
エラーが繰り返し表示されている場合は、NASを何度も再起動せず、次にストレージプールとHDDの状態を確認してください。
4.ストレージプールとHDDを確認する
UGOS Proのストレージマネージャーを開き、次の項目を確認します。
- ストレージプールが「正常」と表示されているか
- RAIDが劣化状態になっていないか
- 認識されていないHDDがないか
- HDDに健康状態の警告が出ていないか
- 不良セクターやI/Oエラーが増えていないか
- RAID同期や整合性確認が実行されていないか
RAID警告が表示されていても、すぐに再構築を強制してはいけません。最初に警告対象のHDD、バックアップの有無、ストレージプールの状態を確認します。
故障HDDが確認された場合は、バックアップを確認したうえで、交換対象を間違えないよう1台ずつ作業します。HDDの交換からストレージプールの修復までの手順は、NASのHDDを安全に交換・増設する方法で解説しています。

5.重要なデータを確認する
ストレージプールが正常でも、停電時に書き込み中だったファイルが破損している可能性があります。
最初に確認するのは、停電直前に使用していた次のデータです。
- コピーまたは移動中だったファイル
- パソコンやスマートフォンからバックアップ中だったデータ
- 編集・保存中だった文書
- 録画中だった監視カメラ映像
- データベースや仮想マシンのファイル
- 同期処理中だったフォルダ
重要データが開けることを確認し、既存のバックアップも利用できる状態か確認してください。
停電直後に長時間のS.M.A.R.T.完全テストや大規模なデータスクラブを始めると、HDDへ追加の負荷がかかります。まず重要データとバックアップを確認し、その後に必要な診断を行います。
停電するとNASに何が起こるのか
書き込み中のファイルが破損する
NASがファイルを書き込んでいる途中で電源が切れると、保存処理が完了せず、ファイルが開けなくなったり、一部の内容が失われたりする可能性があります。
ジャーナリング対応のファイルシステムでも、書き込み中だったデータまで必ず復元できるわけではありません。
ファイルシステムに不整合が起こる
突然の電源断によって、ファイルの実体と管理情報の状態が一致しなくなることがあります。
復電後にNASが整合性確認を実行する場合は、途中で電源を切らず、処理が完了するまで待ってください。
RAIDの同期や修復が中断される
RAID同期、再構築、データスクラブの実行中に停電すると、処理が中断されます。
RAIDはHDD故障に備える仕組みであり、停電による書き込み中断を防ぐ仕組みではありません。RAIDの役割とバックアップとの違いは、NASのRAID構成と冗長性で解説しています。RAIDを構成していても、UPSとバックアップは必要です。
アプリやサービスが正常に起動しない
停電による異常終了後は、一部のアプリやサービスの起動に時間がかかったり、エラーが表示されたりする場合があります。
この場合も、最初からSSHやリセット操作を行うのではなく、UGOS Proのログとシステム通知を確認します。
NASにUPSは必要ですか?
24時間稼働するNAS、遠隔地に設置したNAS、自動バックアップを行うNAS、RAID同期や動画録画など書き込み処理が多いNASには、UPSの導入を推奨します。
UPSの目的は、停電中も長時間NASを使い続けることではありません。突然の電源断を避け、安全にシャットダウンするための時間を確保することです。
| 利用状況 | UPSの必要性 |
|---|---|
| 写真や書類を保存している | 失いたくないデータがある場合は推奨 |
| パソコンやスマートフォンを自動バックアップしている | 書き込み中断を防ぐため推奨 |
| 監視カメラを常時録画している | 常時書き込みが発生するため推奨 |
| RAIDを構成している | 同期・修復中の電源断に備えて推奨 |
| 外出先から利用している | 停電時に手動対応できないため推奨 |
| 必要なときだけ起動している | 利用頻度ではなく、データの重要度で判断 |
「使用時間が短いからUPSは不要」とは限りません。停電時に書き込み処理が重なれば、短時間の利用でもデータ破損の可能性があります。
UGREEN NASでUS3000を使用する
UGREEN NAS 120W DC無停電電源装置US3000は、停電や瞬断を検知すると切替時間0秒で電源供給を継続し、NASの安全な自動シャットダウンを行うDC UPSです。
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復電後の自動再起動は、UGREEN NASアプリで設定します。
US3000の対応モデル
US3000は、次のUGREEN NASに対応しています。
- DXP2800 GT
- DXP4800 GT
- DXP2800
- DXP4800
- DXP4800 Plus
- DXP480T Plus
- DH4300 Plus
- DH2300
US3000の主な仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 出力 | 最大120W |
| 切替時間 | 0秒 |
| 定格エネルギー | 43.2Wh |
| 定格容量 | 12000mAh |
| バッテリー | リチウムイオンバッテリー |
| USB | NASとのデータ通信 |
| 保証期間 | 2年 |
実際に電源を供給できる時間は、NASモデル、搭載HDD数、処理負荷、バッテリー状態によって変わります。固定した稼働時間を前提にするのではなく、安全なシャットダウンを完了させるための電源として使用してください。
US3000を接続する手順
- UGREEN NASを通常の手順でシャットダウンする
- NASの電源アダプターをUS3000の入力側へ接続する
- US3000の出力側とNASの電源入力を付属ケーブルで接続する
- US3000とNASをUSBデータ通信ケーブルで接続する
- 配線を確認してからNASを起動する
- UGREEN NASアプリでUPSの接続状態とバッテリー残量を確認する
- 復電後にNASを自動起動させる場合は、アプリで再起動機能を有効にする
停電時はUS3000がNASへ自動シャットダウンを指示します。復電後は、再起動機能が有効になっていればNASが自動的に起動します。
バッテリー状態を定期的に確認する
US3000に内蔵されているリチウムイオンバッテリーは、使用状況や保管状態によって状態が変化します。
UGREEN NASアプリで、次の項目を定期的に確認してください。
- バッテリー残量
- NASとの接続状態
- UPSの保護状態
- 停電や復電に関する通知
- 自動再起動設定
UPSだけではデータを完全に保護できない
UPSは停電による突然の電源断を防ぐ装置です。しかし、次の原因によるデータ損失までは防げません。
- HDDやSSDの故障
- ファイルの誤削除
- ランサムウェア
- NAS本体の故障
- 火災、水害、盗難
- バックアップされていないファイルの破損
重要なデータは、3-2-1バックアップを基本に保護します。
- データを3つ保持する
- 2種類の異なる保存先を使用する
- 1つはNASとは別の場所に保管する
たとえば、NAS上の原本に加えて、外付けHDDとクラウドストレージへバックアップします。NASと同じ場所にあるUPSは電源断には対応できますが、火災や盗難による同時損失には対応できません。
バックアップが正常に完了しているか、実際に復元できるかを定期的に確認する方法は、UGREEN NASの定期メンテナンスで解説しています。
よくある質問
停電後にNASが起動しなくなりました。どうすればよいですか?
コンセント、電源タップ、電源アダプター、ケーブル、UPSの状態を順番に確認し、電源ボタンは1回だけ押してください。
HDDの取り外し、スロット変更、HDDを外した状態での起動、ストレージプールの削除、RAIDの再作成は行わないでください。電源が入らない場合や複数のHDDが認識されない場合は、再起動を繰り返さず、その状態を保ってください。
RAIDを使っていても停電でデータを失うことはありますか?
あります。RAIDはHDD故障に対する冗長性を提供しますが、停電による書き込み中断、ファイル破損、ファイルシステムの不整合までは防げません。
RAID同期や再構築中に停電した場合は、RAIDの保護状態が低下する可能性もあります。RAIDに加えてUPSとNAS外部へのバックアップを使用してください。
NASにUPSは必要ですか?
重要なデータを保存している場合、常時稼働している場合、自動バックアップや監視カメラ録画を行っている場合は、UPSの導入を推奨します。
UPSは長時間の継続利用を目的とするものではなく、停電時にNASを安全にシャットダウンするための時間を確保する装置です。
まとめ
NASで停電が発生したら、復電直後にHDDを取り外したり、電源を何度も入れ直したりしないでください。電源が安定していることを確認し、NASを1回だけ起動して、ログ、ストレージプール、HDD、重要データを順番に確認します。
停電による突然の電源断を防ぐには、UPSによる自動シャットダウンが有効です。UGREEN NASの対応モデルではUS3000を使用し、停電時の自動シャットダウンと復電後の自動再起動を構成できます。
US3000は設置後も、UGREEN NASアプリでバッテリー残量、接続状態、保護状態を定期的に確認してください。
ただし、UPSはバックアップの代わりにはなりません。RAID、UPS、NAS外部へのバックアップを組み合わせて、停電と機器故障の両方に備えてください。
