UGREEN NASのHDD交換・増設ガイド:故障時の交換・容量アップ・空きベイへの追加
NASのHDDを入れ替える作業には、大きく分けて3つのシナリオがあります。故障したHDDの交換、容量アップのための交換、そして空きベイへの増設です。どのシナリオかによって、手順もリスクも変わります。
この記事では、UGREEN NASでの3つのシナリオそれぞれの手順と、作業前の準備、RAID再構築中の注意点、作業後の確認までを整理します。
キーポイント
- 作業前に必ずバックアップを取り、復元できることまで確認してください。 RAIDの冗長性はバックアップの代わりになりません。
- RAID 1/5/6/10は、HDDが1台故障しても交換と再構築で復旧できます。 RAID 0やBasicには冗長性がなく、故障した時点でそのデータは失われています。
- 複数ベイのNASでは、交換対象のHDDを確実に特定してから作業してください。 縮退状態のRAIDで正常なHDDを誤って抜くと、その時点でデータが失われます。
- 交換用HDDは、NAS向けのCMR方式で、ストレージプール内の最小ドライブ以上の容量を選んでください。
まず確認:交換・追加・容量アップのどれに該当するか
HDD作業を始める前に、まず目的を確認してください。
「HDD交換」と「HDD追加」は似ていますが、実際には別の作業です。
| 作業 | 目的 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 故障HDDの交換 | 劣化・故障したHDDを新しいHDDに入れ替える | 故障ドライブの特定、RAID修復、再構築 |
| 容量アップのための交換 | HDDは正常だが、容量が足りなくなってきた | 1台ずつ大容量HDDに交換し、全台交換後に拡張する |
| 空きベイへのHDD追加 | 空いているベイにHDDを追加する | 新しいHDDを追加し、新規プール作成またはプール拡張を行う |
| ホットスペア追加 | HDD故障時の自動代替用に待機させる | 通常時の利用可能容量は増えない |
HDD交換前に確認すべきこと
HDD交換では、最初の確認が最も重要です。特に複数ベイのNASでは、どのHDDを交換するのかを間違えないでください。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| 故障ドライブの特定 | スロット番号、HDD番号、警告表示、S.M.A.R.T.情報を確認する |
| RAID状態 | 正常、劣化、修復中、異常のどれかを確認する |
| バックアップ | 最新バックアップがあり、復元できる状態か確認する |
| 交換用HDD | 同容量以上、互換性、CMR方式、NAS向け仕様を確認する |
| 電源操作 | ホットスワップか電源オフ交換かを決める |
| 作業時間 | RAID再構築中の負荷を避けられる時間帯を選ぶ |
| UPS | 停電対策として安定した電源を確保する |
現在のRAID構成とHDD状態を確認する
UGOS Proのストレージ管理画面で、現在のストレージプール、RAIDタイプ、各HDDの状態を確認します。
- RAIDタイプ
- ストレージプールの状態
- ボリュームの状態
- HDDのスロット番号
- HDDの型番と容量
- S.M.A.R.T.情報
- 警告またはエラーが出ているHDD
- 修復中または同期中の処理がないか

HDD交換で復旧できるかどうかは、RAIDタイプによって変わります。
| RAIDタイプ | HDD故障時の考え方 |
|---|---|
| RAID 1 | 片方のHDDに冗長性が残っていれば、故障HDDを交換して修復できる場合があります |
| RAID 5 | 1台故障までは修復できる場合があります。ただし再構築中の2台目故障リスクに注意が必要です |
| RAID 6 | 一般に2台故障まで耐えられる構成ですが、UGOS Pro上の対応状況と画面表示に従ってください |
| RAID 10 | 構成によって復旧可否が変わります。どのペアのHDDが故障したかを確認してください |
| RAID 0 | 冗長性がありません。HDDが故障した時点でデータ復旧は困難です |
| Basic | 冗長性がありません。故障HDD上のデータは失われる可能性があります |
| JBOD | 構成によって影響範囲が変わりますが、冗長性はありません |
RAID 0、Basic、JBODでは、故障したHDDを新しいHDDに交換しても、RAID修復で元のデータが戻るとは限りません。この場合は、新しいHDDをセットアップし、バックアップからデータを復元する流れになります。
RAID 1やRAID 5でも、すでに複数のHDDに異常が出ている場合は、交換作業を進める前にバックアップとサポート確認を優先してください。
RAIDごとの違いを確認したい場合は、RAID構成の選び方ガイドを参考にしてください。

交換前のバックアップは必須
RAIDはバックアップではありません。
HDD交換やRAID再構築中は、残りのHDDに大きな負荷がかかります。特にRAID 5では、再構築中に別のHDDが故障すると、データ損失につながる可能性があります。
交換前には、重要データを外付けHDD、別のNAS、クラウドストレージなどにバックアップしてください。バックアップがあるだけでなく、実際に復元できる状態かも確認します。
スナップショットだけでは不十分な場合があります。スナップショットは同じNAS内の論理的な復元手段であり、NAS本体やストレージプール全体の障害には対応できない場合があります。
電源とUPSを確認する
RAID再構築中に停電や強制終了が発生すると、再構築が中断し、ストレージプールの不整合やデータ損失につながる可能性があります。UPSで電源を保護しておくと安全です。
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作業前に、次の点を確認してください。
- NASの電源ケーブルが安定して接続されている
- 作業中に電源タップを抜かない
- 雷や停電が予想される時間帯を避ける
- 再構築中にファームウェア更新や再起動を行わない
交換用HDDの選び方
交換用HDDは、容量と互換性を最優先で確認します。
| 確認項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| 容量 | ストレージプール内で最小のドライブ容量以上 |
| 記録方式 | RAID運用ではCMR方式を優先 |
| 互換性 | UGREEN NAS対応デバイス一覧で確認 |
| 回転数・性能 | できるだけ同一モデル・同容量でそろえる |
| 状態 | 新品または健康状態を確認済みのHDDを使う |
CMR/SMRの見分け方、回転数やキャッシュの選び方など、HDD選定の詳細はNAS向けHDD購入ガイドで解説しています。
故障したHDDを特定する方法
HDDが故障した場合、どのHDDが故障したかを確実に特定してから作業してください。縮退状態のRAIDで正常なHDDを誤って抜くと、冗長性が完全に失われ、その時点でデータが失われます。
- UGOS Proにログインし。
- ストレージマネージャー → ハードディスク管理 → HDD/SSD で、各ディスクの状態を確認します。異常のあるディスクは状態表示で判別できます。
- 故障したディスクが、NAS本体のどのベイに装着されているかを画面上のスロット番号で確認します。
- S.M.A.R.T.情報も確認し、故障ディスクの型番・シリアル番号を控えます。

UGREEN NASで故障HDDを交換する手順
- 故障したHDDを特定します。** 前セクションの手順で、ベイ番号と型番を確認します。
2.「ストレージマネージャ」アプリを開きます - 故障したHDD→右側の「···」アイコンをクリックし、「無効化」を を2回選択し、アカウントのパスワードを入力して「確認」をクリックします。
- NASの電源を切ります、対象のドライブトレイを取り外し、古いHDDを新しいHDDに交換します。
- NASを起動し、「ストレージマネージャ」アプリを開きます。
- 影響を受けたストレージプールをクリックして詳細ページを開き、「修復」をクリックします。
- 表示されるウィザードで、新しく挿入したドライブを交換用ドライブとして選択し、「適用」をクリックします。
- 「フォーマット」をクリックし、確認のためにアカウントのパスワードを入力して、「確認」をクリックします。
進行状況が100%に達し、ストレージプールが「正常」状態に戻るまで、次のドライブを取り外さないでください
容量アップのためにHDDを交換する
HDDが正常でも、容量不足を解消するために全HDDを大容量のものに入れ替えることができます。ただし、このプロセスではRAIDの再構築を複数回行う必要があり、リスクの高い操作と見なされています。
最重要のルールは、必ず1台ずつ交換し、再構築の完了を待ってから次の1台に進むことです。複数台を同時に抜いた時点で、アレイは崩壊します。
前セクションの手順で、ストレージプール内の次の古いドライブに対して「無効化>交換>修復」 プロセスを繰り返します。
ストレージプールは拡張されたものの、ストレージボリュームの容量が変更されていない場合は、該当するストレージボリュームを探し、右側の「···」アイコンをクリックして、「拡張」を選択します。ファイルシステムを利用可能な最大容量まで拡張し、「適用」をクリックします。
空きベイにHDDを追加する方法:容量追加かホットスペアかを選ぶ
空きベイにHDDを追加する目的は、単に容量を増やすことだけではありません。UGREEN NASでは、追加したHDDを新しいストレージプールとして使う、既存ストレージプールの拡張に使う、またはホットスペアディスクとして待機させる、といった選択肢があります。
ホットスペアディスクとは
ホットスペアディスクとは、通常時にはデータ保存領域として使わず、ストレージプール内のHDDが故障したときに代替として使う待機用HDDです。
たとえば、RAID構成で運用しているストレージプールにホットスペアを設定しておくと、対象プール内のHDDに障害が発生した際、システムがホットスペアを使って修復を開始できる場合があります。これにより、手動で交換作業を始めるまでの時間を短縮し、劣化状態のまま放置されるリスクを下げられます。
ただし、ホットスペアはバックアップではありません。誤削除、ランサムウェア、ファイル破損、NAS本体故障、複数台同時故障には対応できない場合があります。重要データは、ホットスペアとは別にバックアップしてください。
ホットスペアディスクを追加する基本手順
UGOS Proでホットスペアを追加する基本的な流れは次の通りです。画面名や操作項目はUGOS Proのバージョンによって異なる場合があります。
- NASをシャットダウンします。
- 空きベイに追加用HDDを装着します。
- NASを起動します。
- [ストレージ管理] > [ストレージプールとスペース]に進み、ディスク冗長性をサポートしているストレージプールを選択し、「Hot Spare管理」をクリックします。
- ポップアップウィンドウで、現在のストレージプールと利用可能なディスクのHot Spare状態が表示されます
- 「今すぐ追加」ボタンをクリックして、選択したディスクをHot Spareとして追加します。
- 追加が完了したら、「適用」をクリックして設定を保存し、Hot Spareディスクがストレージプールに正常に追加されたことを確認してください。
Hot Spareに指定されたディスクは、すべてのデータが消去されます。重要なデータがディスクに含まれていないこと、またディスクの健康状態が良好であることを確認してください。
容量を増やしたい場合はホットスペアではなく拡張を選ぶ
空きベイにHDDを追加する目的が「保存容量を増やすこと」であれば、ホットスペアではなく、新しいストレージプールの作成、既存ストレージプールの拡張、またはRAIDタイプ変更を検討します。
ホットスペアはデータ安全性を高めるための待機ディスク、容量拡張は保存領域を増やすための操作です。この2つは目的が異なります。
交換・増設後に確認すること
HDDを交換または追加して、修復や拡張処理を開始しただけでは作業完了ではありません。処理完了後に、状態が正常に戻っているかを確認します。
確認項目は次の通りです。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| ストレージプール | 正常状態に戻っているか |
| RAID状態 | 劣化や修復中の表示が残っていないか |
| ボリューム | 正常にマウントされているか |
| 新HDDのS.M.A.R.T. | 異常値や警告がないか |
| HDD温度 | 高温状態が続いていないか |
| 共有フォルダ | 通常通りアクセスできるか |
| アプリ | Docker、メディアサーバー、バックアップアプリなどが正常に動くか |
| バックアップジョブ | 交換後もバックアップが正常に実行されるか |
| 容量表示 | 期待した容量になっているか |
よくある質問
UGREEN NASのHDDは自分で交換できますか?
できます。ただし、交換対象のHDDを正しく特定し、バックアップを確認したうえで作業する必要があります。
安全を優先する場合はUGOS Pro上で対象HDDを無効化し、NASの電源を切ってから交換する方法を推奨します。
HDD交換とHDD追加は何が違いますか?
HDD交換は、既存のHDDを新しいHDDに入れ替える作業です。故障HDDの交換や容量アップのために行います。
HDD追加は、空きベイに新しいHDDを追加する作業です。新しいストレージプールを作る、既存プールに追加する、バックアップ領域として使うなど、目的に応じて設定が変わります。
交換用HDDは同じ容量でよいですか?
故障交換であれば、既存HDDと同容量のHDDで問題ない場合が多いです。原則として、交換用HDDはストレージプール内で最小のドライブ容量以上にしてください。
ドライブメーカーを混在させても問題ありませんか?
動作はしますが、推奨されません。メーカーやモデルが異なると、回転数やキャッシュの違いがRAIDの書き込み性能や再構築時間に影響することがあります。同じメーカー・同じモデル・できれば同一容量でそろえるのが安全です。
容量の違うHDDを混在させてもよいですか?
可能ですが、RAID構成ではプール内の最小容量のHDDに合わせて利用可能容量が制限されます。たとえばRAID 1で4TBと8TBを組み合わせても、利用できるのは4TB分です。交換や増設で追加するHDDは、プール内の最小ドライブ以上の容量が必要です。
できるだけ同容量・同等仕様のNAS向けHDDで揃える方が管理しやすくなります。
RAID再構築中にNASを使ってもよいですか?
利用できますが、読み書き速度が大きく低下します。負荷の低い時間帯に作業を計画し、再構築中の大量のファイル操作は避けてください。
できるだけ低負荷の時間帯に再構築を進める方が安全です。
RAID再構築中に電源を切るとどうなりますか?
再構築が中断し、ストレージプールに不整合が出る可能性があります。最悪の場合、データ損失につながることがあります。
再構築中はNASの電源を切らず、再起動やファームウェア更新も避けてください。停電対策としてUPSの使用を推奨します。
RAID 0やBasicでHDDが故障した場合はどうなりますか?
RAID 0やBasicには冗長性がありません。HDDが故障した場合、故障したHDD上のデータは失われる可能性があります。
この場合、HDDを交換してRAID修復で復旧するのではなく、新しいHDDをセットアップし、バックアップからデータを復元する流れになります。
まとめ
HDD交換・増設は、作業前のバックアップ、交換対象の確認、互換性チェック、安定した電源、再構築完了後の確認まで含めて完了です。焦らず、1つずつ状態を確認しながら進めることが、データを守るための最も安全な方法です。
